ソーシャルゲーム運営に対するユーザーのクレーム

 携帯電話やスマホの普及に伴い、ソーシャルゲームの数は今や綺羅星の如くあります。
数年前までフィーチャーフォンの「5」キーを押し続けるばかりだったゲームは、
美麗なイラスト、各社の創意工夫の賜物であるシステム、各種イベント等、そのジャンルも多岐に渡ります。
たいていは基本プレイ無料で、ゲーム内での有料サービスあり。
つまりただ遊ぶだけならお金は要らない、ということですね。
ちょっとした移動中の時間つぶしに丁度よいので、僕もいくつか嗜んでいます。
前述のように遊ぶだけなら無料ですが、それだと百貨店の食品売り場でさんざん試食だけして買わないようなものなので、
月に数百円程度支払っています。


 さて、こうしたゲームにはコミュニティといいましょうか、掲示板のようなものが設置されています。
主にユーザー同士の雑談のために開放されているものですが、ここを通じて運営に意見や要望を述べることもできます。
『こんなところを改善してほしい』、『こういうイベントをやってほしい』……等々。
ユーザーは要望を述べることができ、運営としては顧客の意見を直に吸い上げることができる、よいシステムでしょう。
本来はこの好循環のために活かされるべき掲示板ですが、ことトラブルが起こるとその雰囲気は一転。
サツバツとした空間ができあがってしまうのです。
ここでいうトラブルとはユーザー同士の、という意味ではなく、予期せぬエラーや運営の不手際等によって生じるものをいいます。
通常時は滅多にありませんが、いわゆるイベントというものが開催されると起こりがちです。
この場合でも上記の掲示板は有効です。
つまり運営側がまだ把握していないエラー状況を、ユーザーが報告してくれるのです。
『○○のような状況のとき、✕✕のようなエラーが起こった』のように、具体的に記せば運営も早期に対策を練られるでしょう。
ではサツバツとした雰囲気とはどういうものか……ですが。
たとえばユーザーが次のような発言をしたときです。

『エラーがいつまで経っても直らないぞ! 補填してくれるんだろうな?』
『運営なにやってんだ。まさか日曜だから会社休みで月曜日に対応します、とか言うなよ?』
『いつも反省心のないテンプレ謝罪でアイテム配ればいいってもんじゃないんだよ。
頭を下げるっていうのは反省して同じ失敗しないようにするってことだよ。これって大人が子どもに教えるレベルなんだが?』
『プロ意識が足りない。謝罪の意味分かってる? 不具合が起きてから謝るんじゃなくて、不具合が起こらないようにすべき』
『またエラー? だから昔から仕事してないって言われるんだよ。こんな初歩的なバグ、ちょっと確認すれば分かるでしょ』

数多ある書き込みの中からひとつまみを取り出してみました。
言っていることは間違ってはいないのです。
エラーが起こり、それを運営に伝えて改善を求める。
一連の動作としては正しいし、それはどこででも行われているハズなのです。
ただ、その口調があまりに棘々しく、辛辣なのです。
まるで溺れている仔犬を引き揚げるどころか棒で叩いているような……。
鬼の首を取ったかのごとく、ここぞとばかりに責め立てる様は正視に耐えません。
直情的、衝動的なクレームの付け方ならまだしも、例の3番目以降のような上から目線どころか遥か高みから説教を垂れるような
書き込みを見ると、運営の体質よりむしろそのユーザーの人格のほうが気になってしまいます。


 たとえばレストランなり喫茶店なりに行き、注文したのに一向に料理が出てこなかったらどうするでしょうか。
遅いぞと文句をつけるのはアリでしょう。
待ちきれないから帰る(先払いなら返金してもらう)のも一手です。
しかし罵倒や料理人の人格を否定するようなことを言ってはなりません。
ましてやテーブルの前に引きずりだし、ねちっこくお客様のお説教を諄々(くどくど)と聞かせるなどもっての外です。
気に入らなければ二度とその店に行かなければよろしい。
客側はその店に行かないことで今後イヤな想いをすることはなくなるでしょう。
店側は対応のまずさから客をひとり失うでしょう。
ソーシャルゲームだって同じです。
不愉快であればとりあえず今回被った損失分は補填してもらい、そのまま引退すればよいではありませんか。
わざわざ掲示板でねちっこく責め立てるほどお怒りならば、その後もユーザーを続ける理由などありますまい。
ところがその手のユーザーはなぜかエラーが起こるたびに上記のような書き込みを繰り返すのです。
僕にはその様が、まるで当該ユーザーが運営が次に失敗するのを待っているようにしか見えないのです。
もしそうであるならば、もはや文句をつけるためにゲームをやっているのではないかとさえ――。

暇つぶしの、遊興の、楽しむためのゲームです。
ストレスを発散するためのゲームで反対にストレスを溜めてしまってはたまったものではありません。
数多あるソーシャルゲーム。
上手く付き合っていきたいものですね。