どうぶつおうこく

 神戸どうぶつ王国に行ってきました。
猛夏迫る前にできるだけの外出をしておきます。
どうぶつ王国は全天候型対応施設で、名称から想像できるように様々な動物に触れることができます。
場所は人工島ポートアイランド、本州からみて突端の神戸空港手前にあります。
経路はいくつかありますが、たいていは自動車かモノレールになりましょう。
料金は大人で1500円。
こちらでは表記が「入国料」となっていました。
王国なので当然といえば当然ですが、パスポートがなくても大丈夫です。




王国内は動物の生態等により、いくつかのエリアに分かれています。
ゲートをくぐりますと、まずウサギに囲まれます。
すぐ近くに餌の販売機があり、多くの入国者が給餌をしているので、彼らも分かっているのです。
さあ早く食べ物をくれと言わんばかり、モコモコ毛玉が集まってきます。
人によく馴れているので体を攀じ登ろうとする子もいます。
近くにはかならずこのような案内板があり、生態が詳しく書かれています。
よい勉強になりますね。



最近になって新しくできたエリア、「アジアの森」
レッサーパンダやビントロングというネコ科の動物等が悠々と歩いてございます。
所謂動物園とは違って柵や檻はほとんどなく、手を伸ばせば届きそうなところに彼らはいます。
様々な角度から観察できるのは魅力ですが、凶暴性が強い種はこうはいかないでしょう。






水鳥が集まるエリアもあります。
ハクチョウにマガモ等、体格差のある水鳥がところ狭しといますが、ケンカしたりはしません。
ここにも餌の販売機がありますが、利発な彼らは僕が自販機の前に立っただけでおねだりします。
白い体に赤い嘴が特徴のこのシロトキなどは、せがむように足を突っついてきます。
嘴はかなり鋭いですが痛くはありません。きちんと加減してくれるのですね。



数十メートル先の対岸からペリカンの群れが襲来。
ペリカンフライトタイム』という催しがあり、スタッフさんの合図で何往復かするのです。
頭上をカラスが飛んでもかなりの羽音がしますが、ペリカンとなると布団を干す時のような音が響きます。




みんな大好き、カピバラさん。
この子に会いに来たと言っても過ぎはしません。
この泰然自若とした佇まい!
悟りの境地に達したかのようなご尊顔!
おとなしい性格なので触らせてくれますが、体毛はひじょうに固いです。
のんびりした様子でほとんど動きませんが、葉っぱを食べる時にはかなりの勢いで咀嚼します。
鈍重に見えますが本気で走れば時速50キロメートルは出るそうです。
連れて帰りたい……。




「熱帯の森」というエリアには極彩色の鳥がいます。
普段はスズメやハトくらいしか見ないので、頭上を飛び交う彼らは圧巻です。
こちらも馴れているので襲ってきたりはしません。
このように腕にも乗ってくれます。
他にナマケモノ、アリクイなどがいます。



「コンタクトパロッツ」というエリアでは小鳥と触れ合うことができます。
手乗りサイズの彼らは踏み込むなり、一斉に飛び掛かってきます。
映画ホームアローン2の終盤、犯人たちにハトが襲い掛かるシーンみたいなものです。
これは入り口で餌を渡されているのを彼らが知っているからです。
もちろん彼らにとっては食餌目当てでしょうが、仲良くなると何も持っていなくても寄ってきます。
(ちなみにここに入るには別途料金がかかります)



これまでは屋内でしたが、ここで少し屋外に出てみます。
まず『ホースライド』というエリアには2頭の馬がいます。
乗馬体験ができますが、横で眺めているだけでも癒されます。


『キャメルコーナー』にはラクダがいます。
こちらも乗ることができますが、馬が乗馬なら、ラクダは乗駱になるのでしょうか。



『アルパカスペース』には名前のとおりアルパカがいます。
悠然とした姿にはしがらみを感じさせませんが、ここにいること自体がしがらみかもしれません。
とはいえスタッフさん方が丁寧にケアをしているので、安心と安全は保障されています。



『カンガルーファーム』ではカンガルーの他にゾウガメや鹿を見ることができます。
種類の違う生き物が同じ場所にいながら諍いを起こさない……。
ここでは彼らには縄張りというものは必要ないのでしょうか。
どの子もとてもおとなしいので、驚かせないように注意です。



屋外ではドッグステージが開催されます。
ボーダーコリー(牧羊犬)による羊追いや、レトリバーによるディスクドッグパフォーマンスなど。
羊追いは実際には山ひとつ、牧場一面に渡って行われるものなのでスケールダウンしますが、
俊敏かつ正確無比な動きには息を呑みます。
人間にはとてもできないことです。




きわめて強い存在感を漂わせる(叩きつけてくる)のはハシビロコウ
あまりに動かないので置き物かと思ったほどです。
鳥類というと猛禽類でさえ脚が細いイメージがありますが、ハシビロコウは子どもの腕くらいありますね。
蹴られたり掴まれたりしたら、ひとたまりもないでしょう。
じっくり観察させてくれるので、ストレスにならない程度に様々な角度から見てみます。
相対すると眼光の鋭さに射竦められますが、それ以外のアングルだと巨体のわりに愛嬌があります。
目の前で一度だけ飛びましたが、あまりに突然のことでシャッターを切れず……。
風を斬るような羽音、2メートル以上ある翼開長が頭上を飛び越えた時にはすっかり視界を覆われ、
比喩ではなく一瞬、夜になったかと錯覚するほどでした。




この他にもキツネ種、イノシシ種など多くの動物がいます。
驚いたのはどの時間帯にどのエリアに行っても、清潔であったことです。
個体数が多いと餌の食べ散らかしや糞尿がそこかしこにあるものですが、
スタッフさんがこまめに清掃しているようです。
これらを放置することは動物にとっても衛生的に良くないので、行き届いた手入れには脱帽します。
全て回りきるのに6時間はかかるでしょうか。
催しのタイミングも考慮すると、丸一日では足りないかもしれません。
一般的な動物園にはいない動物も多く、心癒されるひとときでした。
できれば幼い時分に一度はこういう場所を訪れるとよいかもしれません。
人間も含めて命についてどう捉えるか……それを考える下地を作る機会になりそうです。
ああ、カピバラ連れて帰りたい……。