異人館巡り

 永く神戸に住んでいながら一度も訪れたことのない場所、神戸北野異人館
ようやく冬らしい気候になったので、運動がてらに散策することにしました。
住宅街を歩いていると突然、日本ならではの風景から切り離された空間が出現します。
一転、石造りの西洋建築があちこちに見られるようになります。
深緑、赤茶色のレンガが多くを占めるでしょうか。
ハウステンボスを小さくした世界……と比喩すればイメージしやすいかもしれません。
歴史的な経緯や価値重要性の説明については他サイト様に譲るとして……。
(簡単にいうと神戸は古くから港を開いていたので諸外国との交流が盛んになり、
外国人の出入りも多かったことから独自の界隈が出来上がった――という次第です)
いつもと違う道を歩いてみるのはなかなかに楽しいものです。
唯一の難点は勾配の多さ。
平坦な道のほうが少ないと思えるくらい坂道が多いです。(これも長崎に似ていますね)
しかもこれが結構な傾斜で、階段を登っているのかと錯覚させます。
外国の方は高台に住まうのがお好きなのでしょうか。
それとも谷間に住居を構える日本人が異質なのでしょうか。
一説には水はけがよいから、遠く海を見渡すことで水平線の向こうに祖国を思い起こすため、
といった理由が挙げられていますがハッキリとしません。





 風見鶏の館。
異人館巡りでは定番の場所らしいです。
すぐ前に広場があり、観光案内所もあることから散策の拠点になるでしょう。
名称は既知でしたが、実際に見てみると名を冠している風見鶏が思いのほか小さく感じました。
かつての居住者の名からトーマス邸とも呼ばれます。
ちなみに重要文化財に指定されています。



 うろこの家。
名称は見た目のとおり、外壁が鱗に似ていることから。
観覧料がちょっと御高めだったので、外から撮るにとどまりました。
この塔には毎年サンタクロースが飾られるのですが、今年は後期に話題を攫ったスポーツ選手の
特徴あるポーズでお目見えです。
(話題性だけで表面をコピーして、モデルとなった人や事物への敬意が感じられない盛り上げ方は好きではありません)
これも重要文化財のようです。



 山手八番館より。
もしかしたら前出の風見鶏の館より、こちらの方が有名かもしれません。
サターンの椅子といいます。
(このサターンは”悪魔”ではなく、豊穣の神の意)
部屋の左右に置かれた重厚な椅子は左が男性用、右が女性用と分かれており、
そこに座ると願い事が叶うといわれています。
特に注意書等がなかったのでお願い事はいくつでも佳いのかもしれません。
せっかくなので僕も平素では考えられないくらいの集中力で祈りました。
願い事はもちろん……。
(ところで今まで座った人の誰かが、”今後、この椅子に座る人の全ての願いが叶いませんように”と
お願いした場合はどうなるのでしょうか……?)





八番館内には諸外国の展示品がいくつかあり、どれも異彩を放っています。
手軽に異国の芸術に触れる、という点で良いかもしれません。
とはいえここにはロダンデューラーレンブラントから座仏像にマコンデの木彫りなど、
そう広くない展示室で時代も地域も次々と変遷するので混乱しそうです。


なぜかこの木彫りに魅了され、これだけは10枚くらい写真を撮りました。



なお、入り口には世にも恐ろしい天燈鬼と龍燈鬼の像が。
どちらも桃太郎伝説で見たことがありますね。



小腹が空いたので食事。
レッドロックという、ローストビーフが堆い丼でおなじみのお店です。
どうせ異人館巡りをしたのだから異国料理を食べればよかったのですが、
日頃の運動不足が祟って我が胃袋は量を優先してしまったのでした。