こわいな~、なぁんかやだな~

表題でおなじみの稲川淳二さんが神戸にいらっしゃるというので、
稲川淳二の怪談ナイト」に行ってきました。
こういうイベントには滅多に足を運ばないのですが、母がファンであること、
自宅からバスで12分ほどのホールで開催されること等から参加。
正直、あの独特の口調は面白いなと思いながらも敬遠していました。
学生時分、日本人のおじちゃんがカタカナをそれっぽく発音しただけの英語を聞き、
ヒヤリングテストに臨んだ時のように、淳二節ともいえる早口を聴き取ることができなかったのです。
どの言語でもたいていはそうらしいのですが、一言一句を聞き漏らしたくらいでは文意の理解の妨げにはならないそうです。

『おはよございす。きょはよいてんですね』

こういう文章をそのまま耳で聞いた時、母語の習得に抜かりの無い人は勝手に、
「おはようございます。今日はよい天気ですね』
と足りない部分を補う能力を有しているのだとか。
僕にもそういう能力があるハズですから、前から4列目の中央付近というベストポジションのチケットを手に入れたからには、
背筋も凍る怪談を拝聴してやるぞ! と意気込んでいたわけです。


最初は相変わらず早口だなあ、と思ってたんですよ。
テレビで観てるのと同じで、全然聴き取れやしない。
だって分からないんだもん。
AさんとかBさんとか出てきたけど、その人たちがどうしたってのが分からない。
ところどころは理解できるんですよ?
あ、いまAさんが海釣りに行ったんだなとか。
フードをかぶった男が立ってるんだな、とか。
で、そうこうして聴いてるうちに自分も段々段々、知らないうちに怪談にのめり込んでいっちゃうわけだ。
でもって、”あ~これが怪談ナイトなんだな”って自然と思えるようになるんですよ。
だからオチのあたりにくると、うわぁ~! って背筋のあたりが寒くなる。
だって怪談なんだもん! 怖くないわけがないんですよ。
怖くなかったら怪談じゃないんだから。
気が付いたら……2時間のイベントなんてあっという間でしたねえ……。


このイベントに行くまでは延々と怖い話を語るのかと思っていました。
が、心霊写真のコーナーがあったり、稲川さんがじつはかなり剽軽な方と分かったりと充実した時間を過ごしました。
ただ惜しいのは氏が封印していたという生き人形の話をしてくれたのですが、その怖さが僕にはいまひとつ分からなかったことですね。
ご本人やファンの間ではなかば禁忌とされているお話だそうですが……。

※追記

あとで気づきましたが、チケットにもちょっとした工夫がありました。
券面には日時、開催場所等が記されているのですが、その中の、
「開場時間」と「開演時間」の表記がそれぞれ、
「怪場」「怪演」となっていました。