宴も酣

 去年は不況で無かったのに、今年も不況だったのにあったもの。
すみません、日本語がヘンですね。
宴のことです。
午前の総会では社長が経費削減を呼びかけて何とか黒字転化しようと表明していたのに、
午後からは散財放題呑み放題。
矛盾撞着も甚だしい場面転換に失笑したのは僕と良識ある事務員数名。
残る連中はアルコールの大量摂取さえできればそれで満足できるように脳が発達しているので問題なし。
社員総会というイベントは支店が点在している場合、その開催には思いの外費用がかかります。
何しろ社員全員を集めるわけですから旅費交通費が嵩むのです。
ここをなおざりにすると経費削減は到底敵いません。
しかもその後に人数分のお料理を出す――汲々資金繰りの解決策は目の前にあるのにエライ方は気付かんのです。
いえ、この際は目を瞑っているというのが正解でしょう。

 さて、良い歳した人間を精神分析学における退行を超越した乳児帰りにさせる魔法の水……アルコホル。
さすがに数十年と生きて角が取れ、ベテランと呼ぶに相応しい中高年期はこの陥穽には嵌まらないのですが、
大脳新皮質から海馬あたりまで筋肉で出来ていそうなジョックの方々は目も蓋いたくほどの陋劣非道振りを遺憾なく発揮します。
セクハラ発言は当たり前、飲めない(体質的に)人間への執拗且つ過度の飲酒強要、咆哮と言って差し支えない大声三昧……。
いろいろと”サカリ”のついた20代~30代のオトコノコは、異性に貪欲ではなく(今で言うところの草食系)専ら資産運用や
資格取得に邁進している僕に、エ○話を語らせたいようです。
不特定多数が閲覧するここで子細に述べるのも憚られるような隠語(淫語)の数々は、彼らの口から吐き出される台詞の構成比率に
換算すれば100%に達します。
以前からここをご覧になっている方は、彼らがどのような発言で畳み掛けてきたかはご賢察頂けると思います。
あの~、すみません。
あなた方、他に考えるコト無いんですカ?
文字通りバカのひとつ覚えみたいに三大欲求に忠実で、大脳の発達が見られない原始的言語能力と思考能力しか持たないような彼らとの会話(というか相手方の一方的なスピーチ)は、中学1年生あたりにタイムスリップしたのかと錯覚させるほどです。
乳児帰りと揶揄した理由はもうひとつ。
これも一度書いた気がするのですが、”自分の飲み物を自分で注げない”ということです。
目の前にビール瓶があるのに自分で注ぐことができません。
片手にグラスを持ち、もう片方の手で瓶を持ち上げて口が下になるように傾ければ自然とグラスは彼らの好きな液体で満ちるハズなんですけどね。
いちいち他人のグラスが空になっているのを見つけて酌をせよ、というよく分からない我儘が途轍もなく癪に障るんですよね。
車道に胡桃を落とし、走る車の重量に殻を割らせて実を啄ばむ鴉のほうが遥かに頭が良いですね。