馬齢を重ねると罹る病

 うちの会社はお3時の休憩みたいなのがあります。
特に就業規則に謳っているようなものではなくて、3時前くらいになると事務員さんが(僕も事務員ですが)お茶を淹れてくれ、何とはなしに15分くらいの小休止という雰囲気になります。
出てくるのはお茶だけなのですが、貰い物のお菓子などがあるとそれも付いてきます。お煎餅とかクッキーとか。
で、この間京都に行ってきた際に生八橋を購ってまいりました。
2種類の味の10個くらい入ったやつ。それだけです。
当日は京ア○さん行きが主目的だったので、京都は素通りだったんですね。
予め事務員さんにお茶請けにどーぞと渡していたので、3時になるとそれが出てきました。丁寧に僕のところにも。
自分で買った物を自分で食べるのもヘンな感じがしますが、まあそれはよいでしょう。
ところで僕は本社勤務なので、役員という存在がすぐ近くに鎮座していらっしゃいます。
60歳いくかいかないかという位のおじさんです。
一応、僕の上司ですね。
「これ、JEDIさんからです」
と役員の机にも事務員さんがお菓子を置きます。
その時に彼が放った一言。
「お、JEDIからの土産か。毒でも入っとんちゃうか」
第一声がそれっ!?
さて、その直後の僕はどうだったか。次の中からお選びください。

① マジで毒入れてやろうかこの老獪! と思った
② 「気に入らないなら食べなくていいですよ」 と言いたかった
③ 無視した

正解は全部です。
近所でもそうですが、お年召されるとチクリと来るような一言を附けずにはいられない病に冒されるようですよ。
”ありがとう”も”いただきます”も要らないんです。
黙って召し上がってろ、と。
これ以上お年召されなくていいから、天に召されろと。
さすがにそこまでは言いませんが。
隣の席のお局さんは心情を察してか、
「どっちの味も美味しかったわ」
と、おじさんに聞こえるかどうかのギリギリの声量で。
大人ですねえ、こちらは。
「お口に合ってよかったですよ」
僕も同じくらいの声量で返します。
ちなみに老獪の一言に逐一引っかかるものを覚えてしまう僕の御心はまだまだ成熟していないようですよ。




 まったく、人間なんて歳とってもとらなくてもロクな事言わないわね。
しょーもない事で言い争ったり……ほんとに優秀な頭脳を持っている生き物なのかしら?
……と、我が家のクッキーもそう仰っています。